宮田歯科三田診療所 医長 冨川です。
今日は朝から雨ですが、ここ最近少し寒さの厳しさも和らいできたように感じます。
春までもう少しですが季節の変わり目は風邪もひきやすく注意が必要です。
皆様も十分、注意して下さいね。
さてさて、今日は入れ歯の症例のお話。
昔から使用している義歯の調整をしに来られた患者様ですが、見てみると何かがおかしい、、、、、、、。
何か全体的なお口元の印象に違和感を感じ患者様に尋ねてみると、やはり患者様も義歯を装着してから10年以上ずっと気になっていたそうです。
「馬の歯みたい」と家族に言われるなど、大変ショックを受け、当時の先生にも相談したが治せないとのことであきらめたとのことでした。
一見普通そうに見えますが、実は下の歯と上の歯との噛み合う位置を咬頭嵌合位と言いますが、その位置がかなり上方にズレているんです。上下の正中線もズレてますが、上の歯より下の歯の方が長いのがわかりますね。
お口元を見ると、、、、、、、、、。
こんな感じでした。お顔全体のお写真ではないので判断しにくいとは思いますが、見えているのは下の歯だけなのです。
この写真ではお口の力を抜いただけの状態ですので、この状態では下の歯だけが見える方もおられますが、その程度がかなりひどい状態でした。ちょうど下唇の上縁が下の歯の生え際、上唇の下縁に見えている部分が下の歯の真ん中辺り、、、、と言えばお分かりになるでしょうか。しゃべったりお口を開けたりしても下の歯ばかり見えるという状態です。
そこで、、、、、、
こうなりました。
今まで見えてなかった上の歯が見えてるのがお分かりになるかと思います。
距離にして1センチ以上の誤差があったと思いますが、それに合わせて正中のズレも修正しました。患者様にも大変満足いただき、ご家族の方からも「とても自然できれい」と言っていただけたようです。
よかった、よかったです!!
当初、患者様は旧義歯を作製した時なかなかお口に合わず苦労された経験から
「治せるのなら治したいけど、また噛めなくてつらいのはちょっと、、、、。」
と歯科治療に少し消極的でしたが、治療すると
「もっと大変かと思ってたけど全然大丈夫でした!!治療の技術も進歩してるかもしれないけど、もっと早くに治せばよかった」
とおっしゃっていました。
しかしこれは技術の進歩ではなく、噛み合わせの問題も大きかったと思われます。
噛み合わせは見た目の問題だけでなく、その機能にも大きな影響を及ぼします。
患者様は小さい頃から歯が悪く、治療を繰り返していった結果、義歯を作製することになった訳ですが、旧義歯を作製した時も下の歯だけを治療したということでした。
そうすると当然、噛み合わせを上の歯に合わせて作製するしかないため、今回のように全体の噛み合わせまで目が行き届かないケースが多くあります。
これは義歯に関わらず有歯顎の方も同じことが言えます。
その結果、無理な噛み合わせになり、ご自身の歯でも大変な方がいるくらいですから、義歯では尚更、安定させるのは難しくなります。
しかし、人間とは不思議なもので、そんな合わない義歯も時間はかかりますが慣れてきてしまうんですね。
以前ここでも話しましたが、その「慣れ」を「治った」と解釈し放置することで今度は全身の歪みに繋がり、全身に影響がでる頃には残ったご自身の歯にも多大なダメージを背負っていることになっているケースが大変多く見られます。
こういったケースでは、うさぎと亀の話しではないですが歯も同じで、「上下の歯を一度に治すと大変」と思われるかもしれませんが、結果として一度の治療は大変かもしれませんが長い将来を考えるとずっと楽なのです。
つらい入れ歯、我慢してませんか??
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